社会福祉法人の評議員

社会福祉法人制度改革でも大きく取り扱われている評議員。改めて評議員の目的や定数、要件等を今回の法改正も踏まえつつ解説します。

評議員の目的

社会福祉法人は極めて高い公益性と非営利性を持った法人です。
その為、理事会が権力を独占しないように、民主的で適切な運営を図る観点から、予算や決算、定款の変更などの法人の業務遂行に特に重要な事項については、理事会のみで決定するのではなく地域の代表や福祉関係者、学識経験者、利用者の家族会代表等といった多角的な視点から数多くの関係者の意見を予め聴くことが求められるようになりました。  
このような中立かつ専門的な第三者の視点というものが社会福祉法人の健全で適切な福祉サービスの提供を行う上で必要だと考えられ、評議員会の設置が行われることになりました。

法改正における評議員への影響

・これまでの社会福祉法における評議員の問題点

これまでの社会福祉法では、評議員の選任同意が理事会の議決事項でした。これは理事会において意に反する評議員がいる場合、理事会で選任させないことが可能であり評議員会の理事等への牽制機能が不十分だと言わざるを得ない状況でした。
また、評議員会はあくまで理事会が意見を聴くための諮問機関であるため、社会福祉法人の執行機関としての役割がありません。
つまり、評議員全員が反対した事項においても、理事会で決定されればそれが法人の運営に反映されてしまうということになります。
このように、理事等の執行機関に対する牽制機能が十分に働いていなかった課題があり、このままの体制では実質的に評議員会が形骸化してしまい、社会福祉法人の民主的で適切な運営が図られない事態を招きかねません。

・改正社会福祉法による評議員の権限の強化

この為、今回の社会福祉法人制度改革においては法人組織のガバナンスの強化が急務となり、とりわけ評議員会については特に重点的に体制が見直されました。
その結果、今回の法改正では評議員会がこれまでの諮問機関から社会福祉法人の運営に係る重要事項においての議決機関としての位置づけとなり、評議員の権限が大幅に強化されることになりました。また、これまでは理事が評議員を兼務する事が可能でしたが、今回の法改正では理事が評議員を兼ねることを禁止、評議員の選任についても理事会ではなく、中立的な立場の第三者が関与する評議員選任・解任委員会にて選任されることになりました。評議員会に法人運営の最も基本的な重要事項である下記等の権限を与えることにより、理事等を牽制監督する役割を担わせることにしました。

理事及び監事、会計監査人の選任・解任
報酬等の額(定款に額が定められていない時)、
定款の変更
基本財産の処分

評議員の定数

評議員の定数は理事の定数を超える数(理事定数+1名以上)ですが、法令で理事が6名以上となっておりますので、評議員の定数は最低でも7名以上ということになります。 
但し、小規模法人(平成27年度決算サービス活動収益が4億円を超えない法人)は経過措置として3年間は4名以上となります。

評議員の要件

評議員の要件については、「社会福祉法人の適正な運営に必要な見識を有する者」のうちから選任することとなっています。社会福祉法人の適正な運営に必要な見識を有する者とは、厚生労働省の例示では学識経験者や地域の福祉関係者、社会福祉法人に関与した経験がある弁護士等あるいは退職後一定期間経過した社会福祉法人職員OB等ですが、小規模法人を中心にこれらの人材を集めることが非常に困難との意見が数多く出ています。

評議員を選任・解任を行う専門の委員会

今回の法改正で新たに設けられた評議員選任・解任委員会。今後、評議員の権限が大幅に強化されることから、評議員の選任・解任には法人関係者でない中立的な立場にある外部の者が参加する必要があります。
社会福祉法人制度改革においての大きなポイントの一つで、現在数多くの法人が取り組んでいる案件です。評議員選任・解任委員会の委員は定款に定める必要があります。委員の構成は監事、事務局員(職員)、外部委員となりますが外部委員1名を含む3名以上が最低でも必要です。
評議員の選任・解任の決議は過半数の賛成をもって行いますが、外部委員1名は必ず賛成しなければ決議されない為、裏を返すと外部委員を1名とするとその外部委員に全ての権力が集中してしまうことになります。その為、外部委員は2名以上の方が、法人組織の運営上においてもよろしいかと考えます。

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ABOUTこの記事をかいた人

港区の新橋税理士法人の代表社員をしています。 公認会計士・税理士 2014年9月に税理士法人を設立し代表社員に就任しました。 新設法人から創業100年を超える老舗企業まで税務顧問をしています。 http://shinbashitax.tokyo/